2014年9月19日金曜日

2回目のイナヤワンのゴミ山訪問

917日はイナヤワンに再び行く機会がありました。前回の13日はイナヤワンのコンポスト施設を訪れたのですが、今回はイナヤワンのゴミ山がひどいところに訪れ、そこで働く人たちにインタビューすることができました。

同行したのは13日にお世話になったDAREDEMO HEROEriさん、KEIKOさん、そしてフィリピン人のRohnaさん、参加者のMickeyさんと計6人で向かいました。

イナワヤンというのはごみの最終処分場であり、簡単にいうと「ゴミ山」です。ゴミ山が見えてくるまでは普通の住宅やお店が並ぶ地域なのですが、徐々にゴミのリサイクル工場や業者の倉庫が見え出し、同時にゴミが道路の両脇にあふれ、すれ違うのものはゴミを運ぶトラックやごみを漁っている人、コンテナなどになってきます。


前回も書いたように、この場所に近づくと強烈なにおいがあたりを漂い、ハエが大量に飛び交っています。この日は少し雨が降っていたせいか、前回訪れたときよりも匂いはきつくなかったように感じましたが、やはり、ゴミ山に近づくと匂います。(晴れているときがいかに匂っているのか、想像がつきません)ちなみにゴミ山はこんな感じ。


これがゴミ山の端のようです。右側にはもっとゴミが広がっているようでしたが、さすがにそこまで登っていく勇気はありませんでした。 また、Eriさんの話によると、4か月前まではこの写真の下に広がっているコンクリートの道路は向こう側までちゃんとつながっていたそうです。ゴミ山の一角が崩壊したことによって道路が塞がれてしまったようです。


塞がれた道路とゴミ山の境目まで行きましたが、こうしたゴミが一面に広がって積み重なっているのかと思うとぞっとしました。そこには溜まった水にハエかなにかの幼虫がうごめいています。プラスチックのごみが目立ちました。滞在中によく行ったJollibeeのゴミも見られ、どうしようもない気分になりました。


この建物も当初はこんなに埋まることを想定していなかったのでしょう。使われるはずの建物が内部はゴミだらけになっていました。この建物の横にはDPS (Department of public service)の管理している家屋とオフィスがあります。この家屋はゴミ運搬用のトラックが待機するような場所みたいでしたが、詳しい説明はうけませんでした。



国の法律で焼却炉が使えませんので、建設もされません。ダイオキシンを発生させないようにするためなのでしょう。しかし、技術も進歩しており、そうした懸念がなくとも焼却できます。フィリピンでは法改正と焼却施設が早急に必要です。


「ゴミ山になぜ人が住んでいるんだろう?」「なんでゴミを漁っているんだろう?」

事前学習した際にも「ゴミを漁って生活している人がいる」とイメージするぐらいで、その明確な理由が分からず、初めてここに訪れた時にも少し冷めた目で見ていました。


この問いに答えを持つにはやはり直接インタビューしないと見えてこないものがあります。
インタビューするだけでも、話さずにスルーしていた時よりも感じるものが違ってきたり、具体的なイメージ・対象としても目に浮かぶようになります。

(これが現場主義というものでしょうか?現地に行ってみないとわからないこと、感じられないこと、得られないことが多いなとつくづく感じています。調査ではもちろんですが、旅をするときにでも、その期間を充実させるには現地の人たちとコミュニケーションを取るということが非常に大切であると感じます。観光だけではわからない、細かい部分の文化や習慣、生活の様子が分かってきますし、同時に旅をしている時に一度話した人たちは経験上、イメージとして残りやすくなります。コミュニケーションを取るということ自体が言語の違いで難しい面も確かにありますが、最低でも英語は操れるようにならないといけないなと自省します。)

少し脱線してしまいましたが、続きを…



彼らにとって、自分たちが思う「ゴミ」とは「生活のために必要なもの」です。単なる「ゴミ」でも、そのあたりのジャンクショップに持っていけば売れる。だから最終処分場といえどもそうした「宝」が埋まっている場所で宝探しをし、生活に必要なお金を稼いでいます。中には子供も宝探しをしていました。(実際に宝石が見つかったケースもあったそうで、あとでその宝石の持ち主が名乗りだし、謝礼として1000万円を渡したということもあるそうです。)

宝探しをしている人の格好としては、長靴、そしてにおいを防ぐための口にあてる布をしており、道具は鉤つきのスティック(漁師がつかいそうなやつ)を持っています。探したものを回収する丈夫な袋も持っています。鉤付きのスティックというのは下の写真のかわいい女の子が右手に持っているものがそうです。



ここで働いている、Johnard Villaricoさんにインタビューをしました。(本人の写真はありません)

この地域にはジャンクショップが7件~10件あります。そのどれもが専門的に何かを取り扱っているわけではなく、どの種類のゴミも買い取るそうです。

買い取られるゴミの種類と価格はジャンクショップによって異なるのですが、

プラスチック(といってもきれいなもの)は1キロ34ペソ(1ペソ=約2.4円)
ペットボトルは1キロ10ペソ
紙(段ボールなどの古紙)は1キロ35ペソ
カンは1キロ1020ペソ

銅は1キロ200ペソ

下の写真は買い取られるプラスチックの写真です。これぐらいきれいに、さらに加工されやすいものでないと買い取られません。


下の写真はJohnardさんがその日に取ったものです。宝探しをしている人の収入は1日で10~200ペソ、月に3000~4000ペソだそうです。


 この地域でも、他の地域同様に子供が多く見られます。少しの時間だけ戯れていた子供たちが急に走りだし、どこに行ったのかと思ったら、その友達の方に駈け出していきました。その友達が「いえーい!Jollibee見つけたー!!」と言っていたそうです。Jollibeeとはフィリピンのファストフード店でご飯ものもあれば、ハンバーガーも売っているのですが、この友達、生ごみの中からハンバーガーを見つけたそうです。でも一瞬見た感じ、完全に腐っていました。それを嬉しそうにパクパク食べていたところを写真に撮ろうとしたら「撮らないでぇ~」と逃げて行った様子が下の写真です。




 お腹大丈夫なのかな?…こういうことが日常茶飯事なので、宝探しをするときも、生ごみから食料を得るときも、かなり身の危険を伴っています。とても過酷な環境です。

生ごみを積極的に回収し、家畜のえさとしてあげている人たちもいるそうです。事実、この地域には他の場所で見られなかったような豚や牛が飼育されていました。


お腹を壊すくらいならまだましなのですが、死の危険を伴ってもいます。下の光景は、新しく外部からごみが運ばれてくる様子なのですが、Rohnaさんによるとこのダンプがゴミを投下する際に下敷きになって死んでしまう人たちも多いそうです。「新しいゴミ」=「まだ誰も手を付けていない、宝が埋まっていて、見つけられる可能性の高いもの」という認識であるそうで、ダンプが来ると一目散に近寄っていきます。



上の写真がその新しく来た「宝の山」に群がっている人たちです。その日何も収穫できていない人たちがとても集中して宝を探していました。


このイナヤワンの最終処分場は危険性も高まってきており、完全に許容量を超えているので、来年の1月には閉鎖するそうです。閉鎖しても消えないゴミの問題。焼却炉ができないとこうした場所がまた違う場所にできていきます。そしてそれを生活の生業にしている人たちも、ここを離れ新しいゴミ山で生活するようになります。焼却炉ができたときはその時でまたこうして生活している人たちが苦しむのですが、どのようにすればこうした人たちの生活と環境問題の防止を実現できるのか。これはとても難しい課題に感じます。



劣悪な環境でも力強く生きる人たちと消えないゴミ問題が依然として残ったままです。ゴミの上に力強く生える雑草、それでも吸収・分解されないプラスチックのゴミ。上の写真のゴミ山に生えた植物がそうした構図を端的に物語っているように感じました。

こうした構図がより良い方向に向かうようにCompost Projectは動きます。




0 件のコメント:

コメントを投稿