2014年9月12日金曜日

マニラのスラムで

9月10日と11日はスラムに住んでいる人たちにインタビューすることができました。
インタビュー内容は月収や支出の構成、家族構成や生活環境についてなど、そしてトイレに関してでした。

まず1人目は5人家族の大黒柱、ロミオさん。

夜のお店のキャッチをしていた所を逆にキャッチしました(笑) 日本語がとても上手であったため、いろいろわかりやすく教えていただきました。インタビュー後に最終的にお店に連れて行かれる可能性もあったわけですが、そんなことはなく、とてもやさしい方でした。

収入は日雇いで日中に15日×一日最低300ペソで計4500ペソ、夜のキャッチの仕事で基本日給の300ペソ+紹介料のチップでいくらかもらうそうです。平均するとだいたい月に7000ペソと言っていました。(ちなみに2014年9月現在、1ペソ=2.4円)

そのうち、家賃で2500ペソがかかり、あとは日によって異なるそうですが、稼いだお金を「電気代」「水代」「食事代」「子供が学校に行く交通費」で小分けにして貯金しているそうです。(実際に月にどのくらいかかっているかは分かりませんでした)

 その後、家に関して聞きました。前住んでいた家は広さでは4畳ほどの大きさに、家族5人(ロミオさん夫妻、子供3人)で暮らしていたそうで、寝るときにはロミオは立って寝ることもあったそう。またその家も1つのフロアに5家族が暮らしており、計26人で1つの共同トイレを使うと言っていました。トイレは清潔に保たれており、5家族でローテーションを組んで掃除をするそうです。

今住んでいる家は前よりは広くなり、トイレも自分の家にありました。しかし居住空間はそれほど大きくはなく、畳1~2枚の空間が1階と2階に分かれていました。左の写真は一階の台所で、手前の青いタンクは飲み水用の水が入っています。台所の隣の部屋には、下の写真にあるようなトイレがありました。

フィリピンでのトイレは、一般的に便器がないのが基本で蓋などはありません。紙を使わずに、水でおしりを拭きます。流す時も水です。写真の中にシャンプーがあることからもうかがえるように、このトイレのある空間はお風呂も兼ねているようでした。


別の家庭でのインタビューでもそうでしたが、このトイレの下にセプティックタンクと呼ばれる浄化槽(浄化機能はほとんどありませんが…)があり、汚物はそこにたまっていきます。

やがて容量に限界が来ると、床に穴をあけ、汚物を取り出し、修復するといったことを事前に調べていましたが、その通りのようです。


幅60~70センチほどの通路を挟んで向かいの家は、2014年4月29日の火災で崩れたままになっており、ロミオさんがいま住んでいる家は修復した後の家だそうです。そのためか、スラムの中でも比較的きれいでした。

左の写真はロミオさんの家の二階の様子です。ベッドには子供が寝ておりました。この写真を見て分かるように二段ベッドを置くと残りのスペースがほとんどなくなってしまうくらいとても狭い部屋でした。








日が変わりまして9月11日。この日は二つの家族にインタビューを行いました。この時は、デラサール大学を卒業し、いまは就職前の試験勉強中のKrisetさんとACさんに同伴してもらい、ACさんの住む近所のスラムに行きました。(あとで気付いたのですが、このスラムは10日にインタビューしたロミオさんと同じブロックに位置していました。


一組目はクリスティーさんとブレンダさんです。今回はクリスティーさんの家を見させていただきました。写真中央の女性の右側がクリスティーさん、左側がブレンダさんです。

まずは家族構成について。クリスティーさんは5人の子供を持っており、ブレンダさんは4人の子供を持っているそうです。日本ではこの子供の数は多いと感じますが、フィリピンのスラム街ではこのくらい普通だそうです。収入はクリスティーさんが一か月に約10000ペソ、ブレンダさんは姉から毎月7000ペソを送ってもらいながら暮らしているそうです。

クリスティーさんの子供は一番年上で19歳、一番年下で3歳だそうで、真ん中の16歳の女の子はまだ小学校に通っていると言っていました。小学校に通うお金がない月は学校に通えない為、卒業するのに通常よりも長い時間がかかってしまうので16歳になってもまだ小学校に通わなければなりません。                                                                                   左の写真はクリスティーさんの家のトイレです。このトイレはクリスティーさんの家族専用のものではなく、この建物に住む6家族、27~28人で共同で使用しています。このトイレにもロミオさんのものと同じように地下にセプティクタンクが備え付けられています。
右の写真はクリスティーさんの家のキッチンの様子です。ご覧の通り多くの煙が出てきております。このキッチンは屋内にあるため煙が屋内に充満し、ぜんそくの原因になっています。                                                 フィリピンでは9月から11月が雨季に当たります。雨季には洪水がしばしば起き、そのたびに家の中まで水が入ってくるらしいです。これはどうしようもないことなので、クリスティーさんは水が家に入ってくるたびに水を外に掻き出しています。

続いて二件目。二件目は同じスラムのエリンダさんにインタビューを行いました。写真の一番右の女性がエリンダさんです。
エリンダさんは5人の子供を持つ7人家族であり、建物の一階の一つの部屋を使って家族全員が暮らしています。収入は日によりますが、一日にだいたい300ペソなので一か月で約9000ペソです。本当であれば一日に400ペソを食事に使わないといけないのですが、それも難しいようです。


こちらはエリンダさんの家のトイレの写真です。この建物には5つの家族が住んでいるらしいですが、このトイレはそのうちの3家族が共同で使用しています。ご覧の通り、フィリピンのトイレには便座がありません。事前にフィリピンのトイレについれ調べていたとき、トイレの縁におしりがくっつかないように身体を中腰で用を足す、もしくは便座の縁に足を置き、和式便所のように用を足すと書いてあったのですが、実際に聞いてみると、普通にくっつけてするみたいです。
                                         右の写真はエリンダさんの家のキッチンの写真です。こちらの家では炭がありました。炭を使って調理すると煙を抑えることができるため、ぜんそくなどのリスクを減らすことができます。この炭の値段を聞いたところ、一日に20ペソで購入しているそうです。

その他、この家には電気とガスが通っていました。その値段は合わせて一か月で約3000ペソです。月収9000ペソのエリンダさんにとってこの値段は決して安くはありません。                             
雨季における問題についても聞いてみました。クリスティーさんの家とは違い、エリンダさんの家の近くには下の写真の中央にあるように排水溝があるため、雨季に大量の雨が降ってもほとんど問題はないそうです。

まとめると、この地区のトイレの問題は、セプティックタンクが満タンになったときに起こります。修理代が5000ペソもするため、実際のところはどのようにその問題をクリアしているのか。ここが気になります。(聞くのを忘れました…次回に生かします)

初めて、スラムの内部を見ましたが、イメージとここまで違うのかと発見の連続でした。
またこうした状況を整理して、改めて問題点を明らかにしていくことが必要になりそうです。

明日の夕方からはセブに向かいます。セブでもスラムに行く予定なので、万全の準備をしていきたいです。




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