2014年9月14日日曜日

セブでの活動1日目(1)

9月12日の夕方にセブに到着しました。今日は昼前から夕方まで〇進ハイスクールの山〇博先生が設立された「DAREDEMO HERO」というNGOのスタディーツアーに行っていました。事前に私たちがしたいことを伝えていたので、ツアー中に訪れる貧困地域で、スタッフの仲介のもと、現地のトイレを見させていただいたり、生活環境についてインタビューをさせていただいたり、限られた時間でしたが行うことができました。


インタビューの情報量が多いのと、毎回写真のアップロードに時間がかかるので、今回のこの内容は2回に分けて投稿したいと思います。

1500ペソ(約3600円)と、今回の渡航で一度に支払う最高値の料金でスタディーツアーに参加したわけですが、そのぐらいの価値があるほど濃い時間を送ることができました。



ツアーの流れは、
①〇中先生の団体の説明兼熱い講義
②子供たちとの簡単な交流
③子供たちと一緒にお昼ご飯
④支援している子供たちのご家庭訪問
⑤山岳貧困地域でのフィーディング(配食)
といった感じで、④、⑤の間にインタビューやトイレの説明を受けました。

①では、DAREDEMOHEROの設立の経緯(〇中先生の苦悩と人生についての思いの詰まった熱い講義でした)、同団体が行っている活動、目指している目標、団体設立後1年の教育効果など目からウロコの時間でした。

団体の設立経緯や活動については直接HPにいってもらうとよくわかるのですが、中でも驚いたのは、支援している貧困地域の子供たちがその土地の全校生徒5000人いる公立の小学校ですでに実績を出しているということでした。




たった1年、しっかり勉強できる環境を整え、勉強意欲や向上心がある貧困地域の児童を選別するだけで、急激に成績があがったそうです。各学年の1から6位の中に支援している26人の児童が4人ずつ入ったという事実は、「教育」の力や勉強ができる環境(昼ごはんが食べられる、パソコンでの課題ができる、文房具がそろうことetc.)がいかに大切かを思い知りました。

お金がある裕福な家庭の子供たちがエスカレーター式に国のトップになるようなことはどこの国でもあると思いますが、貧困地域の、意欲ある子供たちがトップになっていくことが従来の支援であるといかに難しいかも思い知りました。



そうした状況を変えていくには「教育」が必要であると、それも貧困を知っている「リーダー」が必要で、一人ではなく、マジョリティーとして輩出していく必要があるともおっしゃっていました。そうして貧困を解決できる社会、国家を作り出したいそうです。




また同時に、重要なのは「自尊心」であるという教えも心に響きました。自尊心を育てるために、道徳や日本語教育やおしゃれを積極的に推奨していたのは理にかなっているなーと思いました。(日本語を理解し、話せるのは5000人の中では間違いなく自分たちだけであり、その部分では注目を浴び「誰でもヒーロー」になれるのだとおっしゃっていました。子供たちはきれいな服を着て、ピアスやカチューシャなどもしていました。)







昼食は下の写真のような感じでした。今日はパンとスパゲッティ―でした。みんなでお腹いっぱいに食べました。子供たちが「いただきます」「ごちそうさま」をちゃんと言っていたのに、もう言うことすら忘れている日本人はなんなんだろうとかも思いました。






この量が食べられれば、お金がないという理由で、昼食を水だけで済ましてしまうこともないと感じました。(実際にこれまでフィリピンで食べていた1回分の食事よりも多いなあと感じるほどでした)

また、この昼食(平日には給食の役割を果たしています)は支援している子供たちの親、または親族がローテーションを組んで作っています。こうした児童の親同士のコミュニケーションも大切であると思いました。



その後、双子の女の子を持つ親であるジェニファーさんのお宅を訪問し、インタビューを行いました。下の写真がジェニファーさんと双子の女の子たちです。





ジェニファーさんは四人家族で、収入は月に寄りますが、だいたい一か月7000ペソ~8000ペソでした。その使い道は、食べ物、服、教育費、電気代、水代です。山間部に住むジェニファーさんですが、電気は通っていて、費用は一か月250ペソでした。しかし、水道は通っていない為、飲み水は1ガロン30ペソ、それ以外で使う水は1ガロン3ペソで購入していて、一か月で約600ペソかかるそうです。購入する先は水道が通っている家庭からだそうです。水道管はプラスチック製のものでした。鉄製と思われるものも中にはありましたが、ほとんどが塩化ビニルのような素材でした。調理用の火はカセットコンロを用いていました。屋内で木を燃やすなどをすると火事になる可能性があるというのが理由だそうですが、この点はマニラでインタビューした家庭とは違っていました。




屋外には雨水をためるように工夫されていました。また、体は外でTシャツを着たまま洗うそうです。その場所も見せてもらいました。








黒いパイプが水道管。赤いパイプは電気線です。

水道管が通っている家庭とそうでない家庭がこのパイプを伝っていくとわかりました。




この地区は全体的に投棄されたゴミがいたるところにあり、目立ちました。それは住民も問題だとは感じていますが、改善には向かいません。



フィリピンには雨季があるため、雨季に起こる問題について尋ねたところ、生活面では雨漏りでした。ジェニファーさんのお宅のトタン屋根はところどころ穴が開いているため、雨季になると雨漏りが多く、布で穴をふさいだりしながら対策しているようです。

トイレの面についても質問したところ、トイレには屋根が付いていない為、雨の時は毎回傘を持っているみたいです。下の写真がジェニファーさんも使っているトイレです。




このトイレも地下にタンクが設置されていて、そこに屎尿が蓄積していくそうです。こうしたトイレを1つ設置するのにかかるトータルの費用は2000ペソ~3000ペソだそうです。(意外と安い?)

最後に、この地域の根本的な問題を伺いました。それはこの土地が違法に占拠している場所で、最近地主から出ていけと言われているそうです。30世帯もの家庭が違法に居住空間を作り生活しているのですが、なかなか出ていく気にはなれないでしょう。いろんなところを転々とし、行きついた安全な空間がここであるということが挙げられます。他のスラムや貧困地域にも同じことが言えますが、こうした問題がどのようにクリアされるか、とても難しい問題のように感じます。


ツアーが始まる前のレクチャーで、「なぜセブでは火災が多いのか?そしてその火災が発生するのは昼間で、同時に2,3か所発生するのか?」ということを教えてもらいました。

理由は地主がその土地から不法に占拠している人たちを追い出すために火を点けるからです。地主が直接火を放つわけではありませんが、そうしたことはお金を通じて行われます。フィリピンでは2年間違法でも占拠し続けると、占拠した者の土地になるというきまりがあるそうです。(調べていないので定かではありませんが)2年をまたがないように、地主はあれこれ手を尽くすのです。

死人が出てはいけないというので昼間に放火するそうですが、同時に2,3か所火災を起こすのも、消化活動を遅らせ、全焼させるためだそうです。全焼させなければ土地が空かないからです。



そんなことを聞いたあとでこのような不法占拠の場所で生活している人たちの話を聞くと心が痛くなりましたが、これが消えない事実なんだと思い知りました。


今回の投稿はここまで。明日は続きを更新します。
(写真はジェニファーさん宅の前にて)





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